HoneyKomb Brazy、本名Nashon Jones。彼の人生は、血と炎と鉄格子に彩られた、信じがたいほど過酷な物語である。13歳で従兄弟を撃ち、親友を殺害、8発の銃弾を浴びて昏睡状態から奇跡的に生還し、最愛の育ての祖父母を残忍な復讐で失う。こうした呪われたような運命を背負いながら、彼はギャングスタラッパーとして地響きのような重低音のビートに変え、ストリートの闇を歌い続ける。2025年10月頃に刑務所から一時帰還したかに見えたが、再びループに飲み込まれ、現在は2026年3月14日出所予定のハーフウェイハウスに身を置いている。刑務所ループの男、その真実に迫る。
【呪われた土地、ハッピーヒルズでの誕生】
1995年2月23日、アラバマ州モービルのハッピーヒルズで生まれた。そこは「幸せな丘」と名付けられた場所であるが、現実は正反対である。アメリカ史上最後にアフリカから奴隷を運んだ船クロティルダ号の生存者たちが築いたアフリカタウンの近くに位置し、先人たちの自由の魂が息づく一方で、貧困、犯罪、銃声が日常を覆う闇の土地である。
父は地元の裏社会を牛耳るBig Honeycomb(またはBig Comb)、本名Nashon Barnesである。HoneyKomb Brazyは幼少期にHoneycomb Jr.と呼ばれ、ブラッズギャングの文化に染まる。ストリートネームではCripの「C」を避け「K」に置き換え、「Brazy」も同様に変形させた。父の麻薬密売組織はWest CoastのBloodsネットワークと繋がっており、父はLAのフルーツタウン・ブリムズ、HoneyKomb BrazyはWattsのバウンティハンター・ブラッズと繋がり、公にレペゼンしている。
父は麻薬密売、殺人未遂、強盗で収監され、15歳でHoneyKombを妊娠した母Tenecsha Jonesもブラッズギャング関与と思われる赤のヘアスタイルなどをしており、繰り返し服役。叔父Gator Qもブラッズの重鎮である。両親が牢獄暮らしの常である中、HoneyKomb Brazyは母方の祖父母や叔母に育てられる。普通の子供時代など、最初から存在しなかった。
【少年時代の闇の始まり】
10歳で最初の逮捕。家具店Rooms To Goに侵入し、ゴーカートを乗り回し、スナックマシンを破壊したり店内を損壊。以降、保護観察が彼の人生から消えることはない。
12歳の2007年11月1日、大切な友人Robert Lucas(Slick、18歳)が警察に射殺される。麻薬取引の通報を受け、覆面捜査官から逃走中に警官Paul Burchが4発発砲。胸、背中、肩に被弾し即死。警察は「銃を向けられた正当防衛」と主張するが、地元住民は「両手を上げていた」「銃は空だった」と抗議。FBI捜査の末、不起訴となる。この事件はHoneyKomb Brazyの当局不信を決定的にする。Paul Burchは後に2022年にモービル郡保安官に当選し、HoneyKombやその仲間達はSNSで非難を続けている。
そして13歳。刑務所から組織を操る父が、妻側親族の従兄弟が金をくすねていると知る。父の命令でHoneyKomb Brazyは従兄弟を撃つ。下半身不随の重傷を負わせる。銃撃後、祖父母や叔母の家に戻れなくなり、警察と親族の復讐から逃げる亡命者のような生活を強いられる。14歳で逮捕されるまで、数ヶ月飢えと恐怖に耐える。従兄弟は後に回復し、彼は後悔を口にする。父は従兄弟を「実の息子のように可愛がっていた」のに、自分は「甥っ子扱い」だったと振り返る。
少年施設で約3年服役し、16歳終わり頃に釈放。祖父母のもとに戻るが、生活は変わらない。
【親友の死と罪の連鎖】
2011年12月12日、幼なじみDedrick Thomas(Det)と歩いている最中、Detが男から所持品を奪おうとし発砲。HoneyKomb Brazyが金を奪い逃走したと報じられ、翌日逮捕された。彼は後のインタビューなどで「やったのはDetで、自分はそこに居合わせただけで何もしていない」と語っているが、取り調べでDetの名を出さず、罪を肩代わり。2012年3月4日、司法取引を行ったその数時間後、Det(17歳)がサイコロ賭博の5ドル争いでAnthony Jenkins(37歳)に頭を撃たれ即死。Jenkinsは低額保釈で2年以上自由の身だった。
親友の罪を庇った日に親友が殺される。心は引き裂かれる。この罪でアラバマ州の成人重罪判決を受け、州立刑務所で約4年服役。シャワーは3日に1回、冷水の時もあり、衛生環境は過酷。獄中でラップを始め、RN4L(Real N* For Life)クルーを立ち上げる。
2015年末~2016年初頭に出所。地元MobileのJaquaski TarttがNFL指名され、Omb Peezy、Rylo Rodriguez、NoCapらが活躍する姿を見て、「彼らにできるなら、俺にもできる」とコミュニティに希望を届けるラッパーになる決意をする。
【正当防衛の殺人と復讐の連鎖】
2016年2月21日、HoneyKomb は幼なじみStank(Ladarius Moorer)のガールフレンド(ベイビーママ)宅にいた。HoneyKombの車が、彼女宅前に停まっているのを見つけたStankはドアをノックするが彼女が応答せず激怒。ドアを押し破り、中にいたHoneyKombと対峙。Stankが浮気を疑い、口論がエスカレートしHoneyKomb BrazyはStankを射殺。警察に通報しなかったため殺人罪に問われるが、この件は正当防衛が認められた。HoneyKombは親友を射殺してしまった事を後悔していると語るが、報復で命を狙われる事となった。Stankの叔父DD(Darrin Southall)は、毎月100kgコカインを密売するモービル最大の麻薬王。そして過去に密告で刑を短縮した「ラット」と呼ばれる男だった。
DDは甥の死に激怒し、HoneyKomb Brazyの首に100万ドル以上の懸賞金をかける。RN4L vs. Darrin Southall Distributionの抗争が始まった。
2017年11月、刺客に頭部を含む8発以上撃たれ、9日間昏睡。医師は「助からない」「歩けない」と宣告するが、奇跡の回復。「神の奇跡」と語る。
2010年代後半、アトランタのRaloと繋がりコラボ。Raloは大麻密輸で逮捕され、関係は薄れる。
2019年、銃所持罪などで15年刑。父と同じ部屋で6ヶ月過ごす。初めて長く親子で語り合う。
2020年10月、親友Detの兄Tray Babyが射殺。報復の巻き添えと見られる。
獄中でFreestyleがヒット。J. Prince(Rap-A-Lot Records)が注目し契約。控訴で18ヶ月早期釈放。仮釈放条件は15年間アラバマ州外禁止、銃所持生涯禁止。危険な状況に置かれる。
【祖父母の惨殺と再収監】
モントゴメリーに移るが、2020年11月ライブ配信中銃撃に遭う。軽傷を負ったが再逮捕を恐れ、病院へは行かなかった。2020年12月友人Tykeiya Danielsが殺害された。仮釈放違反を犯しヒューストンへ移る。
J. Princeの保護下にあったHoneyKombに直接手を出せないDDは、標的を彼の家族へと移す。復讐の矛先は、最も無防備で大切な存在――育ての祖父母に向けられた。
2021年2月17日、DDの指示で祖父母Tony Lewis(62歳)とLeila Lewis(68歳)の家に押し入り銃撃+酸素ボンベ爆発で家屋炎上。射殺+火災で死亡。医療依存の高齢者を狙ったこの行為は、極めて卑劣である。
HoneyKomb Brazyは何度も祖父母に「アラバマの呪われた土地から離れよう」と懇願し続けていた。遠くへ引っ越すよう説得したが、二人は長年住み慣れた場所、思い出の詰まった家から一歩も動こうとしなかった。HoneyKombにとって祖父母の死は、これまでの人生で何よりも辛い事であった。
2021年6月、母親の家に銃撃。母親は無事だが「4度目の銃撃」と語る。HoneyKombは仮釈放違反で再逮捕、15年刑に逆戻り。
同年5月、DDの組織一斉捜査で16人逮捕。4トンコカイン、利益約36億円。DDは賄賂で脱走も再逮捕。2022年2月35年連邦刑。同じ日、祖父母殺害容疑で逮捕。実行犯にYSD Capp(Terrance Watkins、ラッパー)が含まれ、彼は犯行前にHoneyKombの祖父母の家の前でディス曲「Not Brazy」のミュージックビデオ撮影し、下見を行なっていたとされている。
【最新のループと現在】
2023年11月、11年早い仮釈放。だが2023年12月18日、交通停止で車に2丁の銃発見。ボディーガードのものだが、アクセス可能距離に銃があり、ガードが重罪犯。仮釈放違反で逮捕。J Prince側に嵌められた噂もあるが、2025年1月刑務所内からBirdmanのCash Money Recordsへ移籍(数百万~$10M契約の噂)。
2025年10月14日頃、早期釈放報道。Say Cheeseインタビューで父と祖父母殺害仲間が同房だったことに激怒、「もう父ではない」と絶縁宣言。しかしこの後、祖父母殺害責任者の一人が獄中で50回以上刺され重体との情報もある。
Rylo Rodriguez、NoCapらにディス。ビーフ再燃。自宅軟禁中、敵に居場所知られ危険を感じ、2026年1月15日頃自首。45日服役で場所変更。現在テキサス連邦再入所センター(ハーフウェイハウス)に収容。投影出所日は2026年3月14日。
これほど壮絶で波乱万丈な物語を抱えるギャングスタラッパーは、他に類を見ない。彼の人生は刑務所ループの象徴であり、まだ決して終わっていない。血と炎の記憶をビートに変え、ストリートから希望を紡ぎ続ける男の物語は、続く。